読書の秋恒例の読書感想文です。
読んだ本はコレ。
阿部 彩
岩波書店
売り上げランキング: 3,691
まず、服や食べるものすら買えない「絶対的貧困」ではなく「その社会のなかで当たり前と考えられている社会活動や社会参加ができない状態」(お金がなくて電車に乗れない、修学旅行に参加できないなど)
「相対的貧困」というものについて説明し、日本人の約6,7人に1人はこの状態にあると説明しています。
日本がいかに子どもの貧困や教育が貧弱かということを様々なデータを用いて客観的に説明しています。
特に日本は唯一、再分配後の所得の
貧困率の方が再分配前よりも高い(富の再分配がされていない)ってのはあまりにも酷いなぁと思いました。
また、本文中には親の年収・学歴と子どもの年収・学歴に強い相関があることも示されています。
調査の一環として示された子どもの必需品調査からもわかるように、日本は教育とかへの関心が低すぎるんだなぁと思いました。
例えばこの前読んだ
奨学金の話でも、貸与型の
奨学金しか(ほぼ)ないことが変だと思わないし「みんな返してるんだから返すのが当たり前だろ。嫌ならやめろ」みたいな奴隷同士で足を引っ張り合うような発言が出てくる。
また、第4章まるっと使って書かれた母子世帯への支援の薄さについて。
章の結びで、母子世帯の母からの話で「子どもを育てられず死ぬしかない」みたいなことを書く人が出るくらいな状況になっていて、許されるべきではないと思います。
ただし、この本自体は2008年時点のもので「子どもの貧困対策法」など、後に改正されたものもあるようです。
この辺は今読んでる「子どもの貧困II――解決策を考える」の序盤に書いてある(今読んでる途中)
まぁさすがに7年も経てば状況も変わるだろうと思ってたら下記のようなニュースが出て「Oh…」って感じなりましたね…。
財務省が「国立大の授業料」の値上げを提案!私立大近くまで引上げ
http://irorio.jp/nagasawamaki/20150512/228382/
さっきまで言ってたことと完全に間逆なんだが!?
別サイトでこれによって大学が独自性を出して学費を安くしていろいろいい方向にいくかもしれないなんて書いてる人がいたけど、そうなったら国はさらに教育の予算を削る方向にいくはずなので結局衰退の道しかない。
実際にそうなるかどうかは別にしても上の人間がこんなこと言っちゃう時点でお察し。
もうさ、無理でしょ。子ども作るの。
ムリムリムリムリかたつむり
普通に子どもを育てるためにかかるお金はどんどん増えるのに行政その他のサポートは貧弱。
万が一、病気や怪我なんてして働けなくなったらその時点で人生オワタだよ?
教育は投資だというけど、投資はタイミングの見極めが大切なんだけど、子供は日々成長するからタイミングなんて選べるわけもなく。(前読んだ本は「教育はもはや投機だ」と言い切っていた)
どう考えても子供を作るのはリスクでしかないと思う。
この本の最後ではただ子供を増やすだけでなく「幸せな子供の数を増やす」ことが必要だと説いていますが、どうやらその未来はなさそうですね…。
種を撒いたり新しい芽に水をやることよりも、天寿を全うして枯れ落ちそうな花を薬で延命することのほうが大事なようですよ(´・ω・`)
最近似たような本ばっか読んでるのでそろそろ別ジャンル読むか。
阿部 彩
岩波書店
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